いらっしゃいませ、こんにちは
どこに行ってもこの言葉だ。もちろん気持ちはこもっていない。自動ドアが開くと、人影を見ると、同僚のこの言葉を聞くと、「いらっしゃいませ、こんにちは」家人の風邪ひきで、様々な物資の買い込みにドッラグストアをはしごしている。1時間の中で2軒の店を回ったが、経営が違うにも関わらず、この言葉であった。最近、良く行く古本屋(これこそ時代を感じさせる)チェーンも、間違いなく、「いっらしゃいませ、こんにちは」である。まだ、北原先生のベストセラー「問題な日本語」を拝読していないが、「いっらしゃいませ、こんにちは」はでているのだろうか?文法的には何ら問題がないのだから対象にはなっていないのかもしれない。立て続けに言われると、こちらまで「どういたしまして、こんにちは」とか「スミマセン、見ているだけです、こんにちは」と言いたくなってくる。とにかく落ち着かない。
ちょっとした事が、昨晩の英語の時間にもあった。こうである。「Ms.Smith wants to be a nurse in the future.」これを生徒は「スミスさんは将来看護士になりたいと思っている」と書いた。もちろん、正解である。解答は、看護婦となっていた。私が横から、「もちろん、君の方が正しい。ただ、Ms.とついていて、主語が女性であることが分かっているんだから、看護婦でもいいよな」と軽く言うと、その生徒は「いえ、看護士です。学校では看護婦はいけません、看護士という名前の資格となったのだから、看護婦はダメで、看護士が正しいのです、と習いました」と笑いながら言うのであった。私も笑いながら「主語が、女性か男性か分からないのだったら、看護士でいいかもしれないけれども、女性だぜ、しっかり」と追い打ちをかけてみる。「いえ、男女平等なんです」という答えが笑いながら返ってくる。敵も然る者である。よっぽど、「だいたい、士、と言う漢字は男性に関係しているんだよ。元々男性器から来た象形文字、という説だってあるんだから」と言おうとしたが、やめておいた。
最近、小学校では、女の子、男の子両方とも、「~さん」である。「~さん」「~くん」で育った私としては何かしっくりこないものがある。ドラえもんの「しずか」「ちゃん」は「のび太」のことを最近は、、「のび太」「くん」ではなくて「のび太」「さん」と呼んでいる。何か「のび太」までいい子になったみたいで寂しい気がする。
みんな形ばかりみたいで、空々しい。見かけで人を判断してはイケナイというのは、常識だが、性同一性障害者の戸籍上の性別変更を可能にする特例法が昨年七月に施行された今、「He」や「She」、彼、彼女という言葉も厳密に使わなければいけない。もちろん、越後のおばあちゃんたちが使う「オレ」など論外である。寂しい。さあ、そろそろ生徒が来る頃だ。「いらっしゃいませ、こんにちは」
訂正
「いらっしゃいませ、こんにちは」に関して、ご指摘をいただいた。「現在、看護婦は、看護士ではなくて、看護師という名称で呼ばれています。ですから、女性であれば、看護婦と呼ばれることがあるにせよ、看護士と呼ばれることは無いのです。看護師です。」というものである。確かにそうである。私の間違いである。見返しても何ら違和感を感じなかったのだから、私の思い込みである。申し訳ない。
今度からこう言うことにする。「看護婦さん」、また「看護士さん」、一般的には、もしくは外見上男性女性が見分けがつかないときには「看護師さん、ただし『し』はあのう、教師の師、師匠の師のほうの看護師さん」
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