霜山徳爾先生
予備校生の時代、たまたま現代文の問題集に出ていた霜山徳爾先生の文章が心に残り、格段に違う人間性を恥ずかしく思いながらもその後も著作を拝読していた。大学1年の頃、改めて先生翻訳のヴィクトール・フランクル著「夜と霧」を紹介された。今は新版も出ているが私にとっては霜山先生の訳の方がなじみがある。先生とお呼びしながらもお目にかかったわけでもないし、御指導を受けたわけでもない。「夜と霧」も言わずとしれた名著であるが、私には今でも重すぎる。その点、岩波新書「人間の限界」は身近な名著である。残念ながら絶版となっており、是非とお勧めできないのだが、古今東西の詩人、哲学者の「一言」「一首」を引用しながら、限界、希望、人間を深く、慈しみをもって語りかけてくれる。
「安らいの み国あるべし 青澄める 雲無き空の 明かしこの果」
私の家のすぐ近所に住んでいたという元死刑囚であり歌人の、島秋人が歌うこの蒼穹に霜山先生は希望を見いだす。何回と無く読み返すこの本には読むたびに・・・・。大事な本である。
« 手のひらを返す | トップページ | PAY OFF »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント